油圧駆動回路設計

鉄製の巨大ロボットを動かすには,モーターによる駆動では力不足です.そこで,クラタスではショベルカーなどと同様の油圧シリンダを使っています.

ただ,私がこれまで作ってきたロボットはモータで動くものばかりです.油圧とモーターでは制御方法が全く異なるため,新たに専用回路を設計する必要があります.ちなみに,コンピュータからシリンダを動かすためには,たとえば以下のような手順を踏む必要があります.

パソコンで目標の長さを指定
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マイコンで駆動のタイミングを指定
 ↓
リレーでマイコンからの命令を増幅・伝達
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バルブでシリンダへの圧力を制御
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シリンダが伸縮する

調べたところ,扱いは空圧と似てる部分が多いようです.また,マイコンも処理能力的にはこれまで使ってきたもので何とかなりそうです.というわけで,簡単に回路図を書いてみます.


なお,これは1関節あたりの回路を簡略化したものなので,全身だと結構な規模になります.

そして,今回使うマイコンはこれ.ルネサスR8C/2Dです.
http://japan.renesas.com/products/mpumcu/r8c/r8c2x/r8c2d/r8c2d_root.jsp

私は普段,ATMEGAやH8,PICあたりを使い分けることが多いのですが,今回わざわざR8C/2Dを使ったのは,大量のA/Dコンバータが必要だったからです.

A/Dコンバータは,クラタスの関節角度を測るためのセンサをつなぐ端子です.何十もの関節を制御するためには,それだけたくさんの端子が必要になりますが,通常のマイコンではそれが8〜10チャンネルしかないのです.一方で,この今回使ったマイコンは,それを20チャンネルも持っているため,基盤1枚で20個のシリンダを制御できます.これはアキバで入手可能な中では圧倒的な数です.

解決法としては,R8C2Dを使わなくても,単にマイコンを増やす方法や,時間的な切り替えでアナログ入力端子を増やす方法,いっそデジタルのロータリーエンコーダに乗り換えてもらうという方もありますが,今回は適当なマイコンが見つかったのでこのまま試作しました.

なんていうか,思いの他細かい(汗)

ひとまず,シリンダで動かす前に手近にあったギヤボックスに接続.
ちゃんとモータをサーボ化できていることを確認しました.

実験に失敗して破損する可能性も考え,トランジスタアレイやマイコンなど,壊れそうな部品は全部交換可能になっています.もちろん,過電流と過電圧の保護は装備していますが,NHKロボコンやってた人間にとって,回路が燃えるのは大して珍しいことではないので(苦笑)


クラタスに乗せてみた.