13型最強(?)クアッドコアi7ノートを10万で作る

うちのメインノートである,初期型 VAIO type Z(Z90)がお亡くなりになりました.外部GPU付きで10万という価格が魅力で購入したのですが,実質3年しか持ちませんでした.

とはいえ,毎日2時間程度の持ち運びと12時間以上の連続使用を繰り返し,挙句に粉塵舞うクラタスの工房で使ってたわけですから,ここは寿命だと納得するべきかもしれません.ともかく,パソコンがないと仕事にならないので,新しいやつを選定しました.自分の選定基準は以下のとおりです.

  • SSD搭載(ロボに載せたときの振動に備えて)
  • 画面サイズは13.3型以下(それ以上だと鞄に入らない)
  • CPUは標準電圧版i5以上(標準電圧版i7だとなお良い)
  • 重量は2kg以内
  • 外部GPUは不要(SandyBrige世代の内蔵GPUで十分)
  • バッテリーは6時間以上
  • 予算は10万(これ以上出せないOTL)

いちおう,新VaioZやTOSHIBAのフラッグシップならギリギリ何とかできそうな仕様ですが,最後の「予算10万円」がすべての努力を無駄にしてしまいます(笑)

MacBookAirという選択肢もありますが,使用しているi7が標準電圧版ではないようですし,Windows入れることを考えると結局15万円以上かかってしまいます.

いろいろ考えた結果,結局購入したのがコレです↓

Acer Aspire Timeline X 3830T
http://kakaku.com/article/pr/11/06_acer/p2.html

標準電圧版のi5を積んでいながら重量は1.8kg,サイズも13.3型で旧VaioZよりは薄くなっています.あと,この若干古くさいデザインがすごく好みです(笑).SSDではありませんし,メモリは4GBしかありませんが,"ほぼ" 自分の選定基準を満たしています.2011年8月時点で,アキバ最安は5万1000円でした(ツクモの期間限定価格).
ちなみに,わたしがこのPCを選んだのは,性能的に妥協をしたからではありません.後述するように拡張性が非常に高く,改造しても壊れにくいのです.

■ さっそく改造!

というわけで,これからこのATX3830Tをクアッドコア Core i7+128GB SSD+8GBメモリなマシンへと改造します.

※決まり文句ではありますが,以下,内容の検証をされる場合は自己責任でお願いします.

交換パーツは以下の3つです.

換装前換装後
HDD500GB(Samsung)SSD128GB(crucial)+17000円
メモリ4GB(2GB×2)8GB(4GB×2)+4900円
CPUCore i5 2410M(デュアルコア)Core i7 2720QM(クアッドコア)+33000円
使用マシンAcer Aspire Timeline X 3830T51000円
合計コスト 103900円

いちおう,10万円台には収まりました(笑)なお自分の知っている範囲では,"13.3インチ以下でCore i7クアッドコア搭載"というマシンはそもそも出回っていません.これは,電力的な問題や熱的な問題もあるとは思いますが,それに加えて,インテル側からの縛りで販売できないという事情もあるようです.逆に言えば,自作することで,世界中のどこでも売られていない高スペックマシンが作れるというわけです.

■ ノートのCPU交換で起きる問題

CPUの交換は,自作のデスクトップや昔のノートパソコンでは比較的簡単に行えていたのですが,最近のノートでは交換自体不可能になっている場合も多いです.仮に交換に成功したとしても,以下の様な問題が起きる可能性があります.

  • 排熱が足りずに熱暴走を起こすことがある
  • 電力が足りずに異常停止する可能性がある
  • VIOSが対応しておらず,省電力系機能などが正しく動作しない場合がある

そんな危険なCPU交換ですが,今回使用するAspire Timeline X 3830T(以下, ATX3830T)に限って言えば,比較的成功率が高いと判断しました.理由は以下です.

  • 同じマザボをつかった15型モデルがある(電源系に余裕がある可能性が高い)
  • 海外には外部GPUを積んだモデルがある(ファンの排熱能力は高いはず)
  • 海外にはi7(ただしデュアルコア)版がある(CPU交換に対応している可能性が高い)
  • 店頭で確認したが,VaioZなどと比べて熱くない(排熱能力は高い)
  • SSDに載せ替えるため,HDDと比べて消費電力,発熱が抑えられる
  • i5 2410Mはi7 2720QMとおなじ第二世代なので,省電力機能なども互換性がある

あくまで,他のモバイルパソコンとくらべて成功率が高いというだけの話ですが,試してみる価値はあると思い,交換を行いました.モバイルのクアッドコアは,それほどに魅力的なのです(笑)

■ 分解手順

ごく簡単に,分解手順を示します.繰り返しますが,自己責任でお願いします.

裏蓋中央のネジを外すと,蓋が取れます.

蓋を取るとHDD,メモリにアクセスできます.

これだけで,SSDとメモリの換装は可能です.ただし,CPUはファンと放熱器に隠されて外せません.これを取り外すためには,さらに分解する必要があります.

まずHDDとメモリを外します.そして,裏から確認できるネジをすべて外します.また,WiFiアダプタも取り外します.

いったん裏返して,パームレストを外します.

電源スイッチやUSBハブ,キーボードなどのコネクタが見えるので,それらをすべて取り外します.
さらに,上蓋を取り外します.

マザーボードは3箇所ネジ止めされていますので,これも全て外します.
マザーボードの固定が外れると,裏返してファンを取り外すことができます.

ファンと放熱器を取り外し,やっとCPUが確認できます.
CPUを交換したら,ちゃんと新しい放熱グリスを塗っておきます.
分解と逆の手順で組み立てなおします.

組み上げ終了.さらに,すべてのコアを正常に動作させるために,改造後以下の操作を行いました.

  • VAIOSのバージョンアップ(Ver.1.05)
  • チップセットドライバのバージョンアップ

見た目にはあまり変わっていませんが,起動時間が16秒程度に短縮されました.また,エクスペリエンスインデックスは以下のように変化しています.

購入時 改造後 Air 新VaioZ 
プロセッサ 6.97.46.86.9
メモリ 5.97.45.95.9
グラフィック 5.85.85.85.7
ゲームグラフィック4.96.46.36.2
ハードディスク 4.87.95.96.9
価格[万円] 6.010.313.925.0
AirとVaioZの値は週刊アスキーの数値を参考にしています.VaioZは店頭販売版のGPUなし,Airは13型i5版です.

これは,CPU的にはモバイル最強と言って良いのではないでしょうか.SSDのインデックス値も完全に振りきってますし,プログラム開発用途で困ることはなさそうです.

■ 使ってみての感想

とても速いですw.とにかく,待たされません.また,思いの外熱くなりません.強いていば,無線LAN付近が若干熱を持つくらいで,通常の使用ではファンから涼風が出ます.TurboBoostもきちんと動作しており,画像処理などを行うと動作周波数が2.20GHzから3.20GHzまで上昇します.

ATX3830Tは,MacBookAirや秋に出る予定のUltraBookにくらべると若干厚くて重いですが,私が使っていた旧TypeZよりは薄く,十分にモバイル用として利用できます.性能を重視してモバイルを選ぶ場合には,選択肢としてアリなんじゃないでしょうか?

※ 上記内容の正しさは保証しかねます.コメントで間違いの指摘などしていただければ修正致します.

■追記(11/09/05)
参考に,購入した部品の型番を明記します.

※代理店によっては,SSDファームウェアが古い場合があるようです.本体にファームウェアのリビジョンが書いてありますので,最新でない場合には先に更新をしてください.